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『掟上今日子の家計簿』/西尾維新 ネタバレ感想 家計簿?な短編集!

個人的にいつかアニメ化しないかなーと密かに期待しているシリーズ、掟上今日子シリーズの最新作を読んだのでその感想です。

今回は厄介ではなく、今日子さん×刑事主人公でした。
全4部の短編集で、『叙述トリック』で若干拍子抜け感を味わってからの『心理実験』という流れが良かったです。
しかし、いまいちタイトルになっている”『家計簿』感”は感じられなかったような……。そこまでお金にがっついてる描写も強調されてなかったですしね。

というわけで、以下ネタバレ含む感想です。

*ネタバレ注意*

『置手紙今日子の誰がために(クイボノ)』

雪山の山荘・クローズドサークルにおけるホワイダニットもの。
もっとも、今日子さんに言わせればホワイダニットじゃなくてクイボノらしいですが。ミステリーはそこそこ読みますけど、初めて聞く言葉です。

真相は『ペンションで延泊するために殺人を犯した。それによって、犯人たちは心中するつもりだったのだ。』というもの。

うーん……。
あまり説得力のない推理と動機で、いまいちスッキリしないまま終わってしまいました。

犯人たちは追い詰められていて常識的な判断ができなかったのだ、というのは現実的ですが、しかし起こっていることは荒唐無稽。当然理解不能な動機になっていて、ミステリとしてはどうにも納得ができませんでした。

殺人のコストパフォーマンスという見方とか、最後のお金のために探偵をやっているという辺りは、実に今日子さんっぽくて良かったと思います。

『掟上今日子の叙述トリック』

まさかの犯人不明なお話。
一応文字数で犯人は絞れるらしいですが、あまり意味はないというか、あくまでメインは叙述トリック講義といった感じ。

西尾維新のことだから、堂々とタイトルに叙述トリックという言葉を使っておきながらも、叙述トリックを仕掛けてくるんじゃないか、なんて思いながら注意して読み進めていたのですが、待ち受けていたのはなんとも言えないラストでした。
若干拍子抜けです!

これについては作中でも、”『掟上今日子の叙述トリック』なんてタイトルをつければ、誰しも叙述トリックが使われるのだと思うでしょうけれど”なんて書かれてて、読みながら「ぐぬぬ……」ってなりましたけどね!

メインである叙述トリックを13パターン分も解説する講義は、網羅的で、なかなかおもしろく読めました。
今日子さんによるコメディよりな解説で、堅苦しくないのが良いですね。

『掟上今日子の心理実験』

『叙述トリック』からの、『心理実験』での叙述トリックという流れは驚きもあってとても良かったです。
まぁ、厳密に言えば作中人物である刑事が今日子さんを騙すためのトリックなので、叙述トリック=読者を騙すためのトリックというわけではありませんけども。

被害者が実は赤ん坊だったという、年齢誤認の叙述トリック自体はありふれたものであまり驚きはありません。
が、刑事がそのトリックを仕掛けた理由と、それによって今日子さんのキャラクター性が示唆されているのはおもしろいです。

『心理実験』というタイトルも、内容に即していて良いタイトルだと思います。

『掟上今日子の筆跡鑑定』

最後の4篇目は、いうなれば”現代における筆跡”がテーマ。

ですがそもそも、”今日子さんが一時間以内に遊園地の脱出ゲームを制覇しなくてはならない”という状況設定に至る理由が、あまりにも説得力がなくないですかね。

というかアプリがあって、それに時間が記録されるというのを、警察があらかじめ把握していないのはさすがにおかしい。
どうやって平均クリア時間とか計測してるの?って普通疑問に思いますよ。

そして現代における筆跡ということで、スマホのフリック入力というタネ自体はおもしろいです。
ですが、文字がわかっているのに、わざわざ実際にフリック入力してその動きを確かめますかね?
普通頭の中だけでシミュレートするような気がします。

そもそも指紋云々の前に、目撃証言とかでかたがつきそう。

とまぁ、細かい点で気になる所はたくさんありますが、”最速”について張り合う今日子さんが可愛かったので満足です。

まとめ

というわけで『掟上今日子の家計簿』のネタバレ感想でした。

なんだかミステリー的に気になった点ばっかり書いちゃった気がしますが、今日子さんというキャラクターを楽しむという点で見れば、なかなか良い短編集だったかなと思います。
相変わらず文章は読みやすいですしね!

次回作のタイトルは『掟上今日子の旅行記』。
楽しみですね。

それにしてもこのシリーズ以外にも、色々とシリーズが並行して出版予定ということで、筆早すぎですね西尾維新。
その調子で世界シリーズも完結させて欲しいところです……。

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